カメの甲羅は武器にもなる

カメ類の魅力と現状を中心に情報を発信していきます

印旛沼水系のカミツキガメ事情と文献整理

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カミツキガメ

 

ここ数年のことでしょうか、印旛沼水系に定着したカミツキガメがテレビで紹介されることがかなり増えたように感じます。

 

多くの方に興味を持ってもらえるのは嬉しいのですが、テレビの演出のためか誤解をまねくような表現があったり、雑に紹介されたりと、もやもやしてしまうこともあります。

 

そこで、印旛沼水系に定着したカミツキガメ生態防除対策について知ってもらいたいと思い、印旛沼水系での事例を扱った文献を整理しました。

 

以下、私が整理した文献(印旛沼水系のみを抽出)です。

防除対策

 

生活史

  • Kobayashi, R., Hasegawa, M., and Miyashita, T. 2006. Population parameters of an alien turtle (Chelydra serpentina) in the Inbanuma basin, Chiba Prefecture, Japan. Assessment and Control of Biological Invasion Risks: 168-169.

 

その他

 

なお、カミツキガメの防除について、上記の文献を読まずにざっくりと概要が知りたい方は、下記の千葉県生物多様性センターの資料が参考になるかと思います。

千葉県. 2021. 千葉県におけるカミツキガメ防除実施計画書(令和3年3月改定)

 

 

ではでは

 

 

昔の景色が見てみたい

 房総半島南部には、ちょっと寂しい雰囲気の道の駅があります。

 

いくつかのお店があるのだけど、今はどこもやっていない。

 

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記憶が残っていないほど幼いころに、営業していたお店を見ていたかもしれない。いや、そのころから既に店が閉まっていたかもしれない。

 

賑やかだったころの景色が見てみたかったなと、ちょっと悔しい気持ちになってしまった。小さな場所だけど、なぜかとても気になってしまうところ。

 

もしかしたら今日はどこかの店がやってるんじゃなかと、こっち方面に来たときは休憩もかねて寄ってしまう。

 

今日はこんな感じで。

 

ではでは。

 

ちなみに場所はここ

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道路を横ぎるヘビにご注意を

今日もギバチ探しに行ってきました。

 

1地点だけど、何とか在地点を増やすことが出来ました。あと10地点ほど必要なので頑張ります。

 

そんなことより、今日は道路を横ぎるヘビを何匹も見ました。

 

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アオダイショウ

気温も上がって活発になってきたのか、道路を横ぎる個体が増えています。中には道路で日光浴している個体もいました。この時期のアスファルトは体温調節にちょうどいい温かさなのかもしれませんね。

 

たいていの個体は、道の端ですぐに逃げていくのだけど、中には道路の真ん中にいて轢かれてしまう個体もいました。

 

ヒバカリとアオダイショウが轢かれていて、ヤマカガシを1匹轢きそうになりました。危なかった…

 

当分はヘビに気を付けて運転することにします。

 

もちろん、トカゲやカメなども道路を横ぎるので注意が必要です。

 

ではでは

砂浜に打ちあがるカメの死体

砂浜にカメの死体が打ちあがっていた。カメと言っても海ガメではない。淡水ガメだ。

しかも、日本国内にはこれといった天敵のいない、外来種ミシシッピアカミミガメクサガメの成体だった。

 

おそらく、隣接する河川に生息していたものが豪雨で増水した際に海まで流されてしまったものだろう。

 

ただ、流される過程で溺死したものが打ち上ったのか、生存個体が過熱で干からびたのか、徘徊している際に捕食者に襲われてしまったのかは分からない。

 

 

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ミシシッピアカミミガメの死体

死体は干からびた状態で、頭部が欠損していた。大きさ的に成体と判定された。

 

 

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クサガメの死体

死体はオスの成体(黒化済み)だった。しかも、四肢が欠損しており、何かに襲われた後だった。

 

冒頭にも書いたが、日本国内には、これらのカメ類の成体の主要捕食者はいない。数少ない捕食者として、特定外来生物のアライグマとカミツキガメクサガメの成体を捕食することがあるとの報告が僅かにあるくらいだ。

 

砂浜に淡水ガメが打ち上っていたという事例は今回が初めてではなく、日本各地から既に報告されている。中には、海から生存個体が上がってきたり、海中で生存個体が捕獲されたとの報告がある。どの報告も、数日前に豪雨があったことより、河川から流されてきたものだろうと結論付けている。

 

こういったことから、豪雨の際にかなりの数のカメ類が海まで流され、死んでしまっているのではないだろうか。と、ふと考えるようになった。

 

日本の自然環境がどの程度、天敵の少ない外来カメ類の成体を死亡させているのかとても気になるところだ。

 

ということで、こつこつとデータを集めようと、調査を始めてみた。まだ3回ほどだけど。熱中症にならないよう気を付けて、データを集めていこうかな。

 

 

ちなみに、カメ以外の死体も打ち上がっている。

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ちなみに海岸植物も色々と。

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ハマヒルガオ

 

 

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今回はこんな感じで。

 

ではでは。

 

 

 

獣害対策の柵がカメを減少させるかもしれない

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大きくなったカメ(特にメス成体)では通れない形状(穴)の柵

 

獣害対策のためか、周囲が厳重な柵で覆われた畑や水田を見る機会が増えてきた。カメたちにとっては良くない傾向だと思う。

 

カメ類は灌漑期の水田を採餌場として利用したり、畑を産卵場所として利用する。そのため、柵によって水田や畑へのアクセスが閉ざされてしまうと、成長が悪くなったり、産卵数が減少してしまう恐れがある。そして、結果的にカメたちが減少してしまうのではないだろうか。と不安に思うことが増えてきた。

 

最近になり、この問題を気にし始めたのだか、その理由は柵によって淡水ガメリクガメ類移動が阻害され、死亡例が数多く見つかるようになったとの報告が国外から増えてきたためである。柵による移動阻害がもたらす直接的な死因としては、過熱捕食轢死柵への絡みつき(挟まったまま抜け出せない)と報告されている。

 

研究例として、以下のものがある。

 

関連論文

影響評価関係

 

改善策関係

 

 

幸いなことに、千葉県では成体のメスでも通れるような形状の柵(たぶん、たまたま)を設置している場所も数多くあった。今後、どのくらいの穴の大きさや形状であれば、カメたちが問題なく通ることが出来るのか、その辺りが分かれば影響を緩和できるかもしれない。

 

とはいえ、そもそも日本のカメたちが柵によって移動を阻害されていたり、それによって数を減らしていることはまだ全く分かっていないのだけどね。

 

この辺りは、最近気になっているトピックでもあるので、時間があるときにでもこつこつとデータを取っていこうかな。

 

ではでは。

 

 

 

 

 

流木はゴミではない

 

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流れついた木の残骸

 

豪雨の後に川を見に行くと、至る所に流木やその破片が溜まっていることがある。

 

これらの流木は、目障りだから、危険だから撤去しろ、などと言われることがある。もちろん、新たにくる豪雨によって、溜まっていた流木が流され、市街地へと流出し、被害を及ぼす恐れがあるのであれば撤去することは当然であろう。

 

しかし、一見邪魔そうなこの流木も、野生生物にとっては貴重な生息場所や休憩場所などとして利用されていることも考えてほしい。

 

流木によってせき止められた緩やかな場所、例えば流木の下は淡水魚をはじめとした多くの水生生物が隠れ家などとして利用している。中でも、カメ類はこのような環境を隠れ家や日光浴場所として利用している。

 

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流木で日光浴中の雑種

 

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流木で日光浴中の雑種

 

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流木で日光浴中のクサガメ

 

前に知人に聞いた話ではあるが、都市河川などでは流木が撤去されたり、周辺の木が伐採されたりすることがあるようだ。

 

もちろん、市民の安全のためには仕方ないことではあるけれど、少しくらいは残しておいても良いではないか、とふと思うことがあった。

 

今回紹介した写真はどれも外来種やそれらの雑種ではあれけれど、日本固有種のニホンイシガメや他の水生生物も流木を隠れ家などに利用している。豪雨が頻発するようになった近年では、災害を防ぐ上で流木を撤去する(特に都市河川)ことが増えてくるかもしれないけれど、少しでも野生生物に配慮して残してもらえるとありがたい。

 

こういう思いで、ちょっと愚痴を書いてみた。